に向うて亥戌酉申より丑子まで十二支を逆さに三度繰り返すべしと。また一法は、戌亥子丑寅と五支の名を唱えつつ五指を折り固むるのだと。ただしその法幾度行うても寸効なかったと自白した。上に孫引きした『博物類纂』の支那方あたりから転出したと見える。
『続古事談』二に、古え狐を神とした社辺で狐を射た者あり、その罪の有無を諸卿が議した中に、大納言|経信《つねのぶ》卿は、白竜の魚、勢い預諸《よしょ》の密網に懸るとばかり言えりといったので、その人無罪になったとある。これは春秋の時呉王が人民と雑《まざ》って飲もうとするを伍子胥《ごししょ》が諫《いさ》めて、昔白竜清冷の淵に下り化して魚となったのを予且《よしょ》という漁者がその日に射|中《あ》てた、白竜天に上って訴えると、天帝その時汝は何の形をしていたかと問うた、白竜自分は魚の形をしていたというを聞いて、魚はもとより人の射るべきものだから予且に罪なしと判じた。魚の形をせなんだら予且に白竜は射られぬはず、今王も万乗の位を棄て布衣《ほい》の士と酒を飲まば、臣その予且の患《うれ》いあらんを恐るといったので王すなわちやめた(『説苑』九)という故事を引いたのだ。されば
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