って倒れた動物を食う事を免《ゆる》された。犬の望みで免状を認《したた》め賜わったのを、犬の内もっとも大きく信用もあらばとて牧羊犬に預け置いた。秋来って牧羊犬多忙となり、持ち歩む事ならず乾いた置き場所もない故、件《くだん》の免状をその親友牝猫に預けようというと早速承知の印しにその背を曲げ高めて牧羊犬の足に擦り付けた。由《よ》って免状を暖炉の上に置いて猫に預けた。その後犬どもが林中で倒れた小馬を見付け襲い殺して食ってしまったので、諸獣これを訴え犬ども有罪と決したが、犬どもかの免状に倒れた動物を食うを許すとあったばかりで、死んだ活《い》きたの明細書がなかった由を拠《よりどころ》として控訴した。ここにおいて牧羊犬と猫が、懸命になって免状を捜したが、※[#「鼬」の「由」に代えて「奚」、第4水準2−94−69]《はつかねずみ》が囓《か》んでしまったので見当らなんだ。猫大いに怒って※[#「鼬」の「由」に代えて「奚」、第4水準2−94−69]と見れば殺して食う事となった。犬また猫の頼み甲斐なさを恨んで、猫を仇視して今に至るもやまず。牧羊犬は免状なしに他の犬どもに見《まみ》ゆるを恥じて姿を隠したので、諸
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