び、眼に塗れば視力強く、邪鬼に犯されず、猴王を拝むに土曜最も宜しく、鉛丹と油はその一番好物たり。ハヌマン味方の創《きず》を治せんとて薬樹を北海辺に探るうち日暮れて見えぬを憂い、その樹の生えた山を抱えて飛び返るとて矢に中った時、この二物を塗って疵《きず》癒え、楞伽平定後、獲た物を以て子分の猴卒どもに与え尽した時、またこの二物のみ残ったからだ(『グジャラット民俗記』五四―一五六頁)。
[#「第6図 ハヌマン神像」のキャプション付きの図(fig2539_06.png)入る]
『コンカン民俗記』二章にいわく、大抵の村で主として猴王をその入口に祀《まつ》り、シワ大神の化身として諸階級の民これを崇む。その祭日に祠を常緑葉と花で飾り、石造の神像を丹と油で塗り替え、花鬘《けまん》をその頸《くび》にかけ、果を供え、樟脳《しょうのう》に点火して薫《くゆ》らせ廻り、香を焼《た》き飯餅を奉る、祠官神前に供えた椰子を砕き一、二片を信徒に与う。村の入口に祀るは、この神、諸難の村に入るを防ぐからで、昔は城砦を新設するごとにその像を立てた。この猴かつて聖人、仙人、梵士および牛を護るに力《つと》めて神位に昇ったと。わが
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