の供養を受け、全盛するを見、諸比丘を戒めた偈《げ》に、芭蕉は実《みの》って死し、竹も蘆も実って死し、騾は孕んで死し、士は貧を以て自ら喪うと言った。注に騾もし姙めば、母子ともに死すとある(『大明三蔵法数』一九)。『爾雅翼』に、騾の股《また》に瑣骨《さこつ》ありて離れ開かず、故に子を産む能わず。『史記』の注に、※[#「馬+夬」、第4水準2−92−81]※[#「馬+是」、第4水準2−92−94]は、その母の腹を刳《さ》いて生まる。『敬斎古今|※[#「(「黄」の正字、※[#第3水準1−94−81])+主」、368−3]《とう》』三に、騾は必ずしも驢種馬子でなく、自ら騾の一種があるので、生まるる時必ず母の腹を剖《さ》かねばならぬとあるなど、騾の牝が子を産まぬについて、種々虚構した説だ。
『人類学雑誌』に、パプア人やヤミ蕃人が、以前出産の際母の腹を剖いて子を取り出したが、後に他所の女の山羊が、腹を剖かずに安全するを見て、その法を廃したと見えた。遥か昔、北狄間にもそんな風があった痕跡として、騾の腹を剖いて子を取ると言ったのでないか。『池北偶談』二六に、〈釈典に三必死あり、いわく人の老病、竹の結実、騾
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