は騾という物じゃといったと見ゆ。その通り騾は頭厚く短く、耳長く脚細く、※[#「髟/宗」、第4水準2−93−22]《たてがみ》短く蹄狭く小さく、尾の本に毛なきなど、父の驢そのままだが、身の大きさや頸尻毛歯の様子は、母の馬そっくりで、声は父にも母にも似ず、足蹈みの確かなると辛抱強きは、驢の性を享《う》け、身心堅壮で勇気あるは馬の質を伝う。故に荷を負うの巧馬に勝《まさ》る。古ギリシアまた殊にローマ人、これを車に牽かせ荷を負わすに用いたが、近世大いに輜重《しちょう》の方に使わる。ただし馬の父が驢の母に生ませた騾、すなわち※[#「馬+夬」、第4水準2−92−81]※[#「馬+是」、第4水準2−92−94]は余り宜しからず。プリニウス説に、愚鈍で教ゆべからずとぞ。プまたいわく、牡馬に由って孕み、次に牡驢と交われば牡馬の種消ゆ、しかるにまず牡驢に由って孕み、次に牡馬と交わるも驢の種消えずと。何に致せ騾はある点において父にも母にも優り、国と仕事に由っては馬よりも驢よりも欲しがらるるが、騾種は二代と続かず、必ずその都度驢と馬を交わらせて作るを要す。
 昔仏その従弟調達が阿闍世《あじゃせ》王より日々五百釜
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