十二支考
馬に関する民俗と伝説
南方熊楠
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)隙《ひま》行く駒《こま》の
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)初唄|唱《うた》う芸妓や、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「敬/手」、第3水準1−84−92]《ささ》げ
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)あなめ/\と
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伝説一
隙《ひま》行く駒《こま》の足早くて午《うま》の歳を迎うる今日明日となった。誠や十二支に配られた動物輩いずれ優劣あるべきでないが、附き添うた伝説の多寡に著しい逕庭《ちがい》あり。たとえば羊は今まで日本に多からぬもの故和製の羊譚はほとんど聞かず。猴《さる》の話は東洋に少なからねど、欧州に産せぬから彼方の古伝が乏しい。これに反し馬はアジアと欧州の原産、その弟ともいうべき驢はアフリカが本元で、それから世界中大抵の処へ弘まったに因って、その話は算うるに勝《た》えぬほどあるが、馬を
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