。それより他邦に之《ゆ》きて一老人の養子となる。この養子|唾《つばき》はくごとに金を吐く、老人その金を国王に呈し、王女を養子に妻《めあわ》さんと願う。王ともかく本人をとて召し見ると、かの男王の前で金を吐く、王女馬の腹帯もて彼を縛り塩水を呑ませ鞭《むち》うつと玉を吐くを、王女拾い嚥みおわる。男は老人方に還り、驢の鞍と※[#「革+巴」、344−9]《はなかわ》を造り往きて白樹下に坐す。彼貧なりし時この樹下に眠り、夢に不思議な呪言を感得しいた。かくと知らぬ王女は玉を嚥んで懐妊し、処女二十人伴れてこの樹下へ遊びに来り、かの男呪を唱えて王女を驢に化し、鞍と※[#「革+巴」、344−11]を付けて一月間|騎《の》り行《ある》くと、驢疲れて進む能わず。因って徒歩して一都城に到り、僧となる。跡に残った驢は※[#「戀」の「心」に代えて「子」、第4水準2−5−91]生《ふたご》の男児を生み、その子孫皆|※[#「戀」の「心」に代えて「子」、第4水準2−5−91]《ふたご》で金銀茶布を有し、毎《いつ》も富み、その後胤殖えて支那人となったと。かかる話は蒙古等の民が甚《いた》く鮓答《さとう》を尊ぶから生じたであろ
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