とごとくその真似もならず、香具師の工夫で驢乳を脂で固めて鬢附油《びんつけあぶら》ごとき板とし売った。タヴェルニエー説に、東欧のノガイ人は馬肉や馬脂を熱して金創に傅《つ》け、神効ありというと。ローマ帝国の盛時興奮剤として最も尊ばれたヒッポマネス(馬狂うの義)は、考古学者も科学者も鋭意して研究すれど今にその詳を知り得ぬ。去年英国の碩学から東洋にもかかる物ありやと問われ、種々調べたが手懸りだに見出さぬ。古書に載ったヒッポマネスに二様あり。一は牝馬《ひんば》春を思う際身分より出づる粘液を採り、呪を誦《ず》しながら諸霊草と和し薬となすものだ。ヴィルギリウスの『詠農《ゲオルギカ》』巻の三に、春色|駘蕩《たいとう》たる日牝馬慾火に身を焼かれ、高い岩に飛び上がり西に向って軟風を吸う、奇なるかなかくして馬が風のために孕まさるる事しばしばあり、爾時《そのとき》牝馬狂い出し、巌高く湍《せ》速く谷深きを物ともせず飛び越え跳び越え駈け廻る、この時ヒッポマネス馬身より流れ出づという。パウサニアスの『希臘廻覧記《ヘラドス・ペリエジシス》』五巻二七章に曰く、オリンピア廟へフォルミス・メナリウスが献納した、二つの鍮金《
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