室皇族のみ飲む、ただしその祖父|成吉思《ジンギス》を助けて偉勲あったホリヤド部人は皇族にあらざるも特許飲用したと。一四〇三―六年の間にサマルカンドのチムール朝廷に使いしたスペイン人クラヴィホの記に、チムール諸国使節を大饗するに馬の炙《やきもの》の脚を去り、腰と臀《いさらい》を最上饌とし切って十の金銀器に盛るとありて、その食いようを詳述す。『周礼』に馬を六畜の首《はじめ》としたのもこの通り貴んだのだろう。
 古ローマ人は驢乳を化粧に用いて膚を白くすと確信し、ポッペア(ネロ帝の后にして権謀に富み、淫虐甚だしきも当時無双の美人たり。何かのはずみに帝|赫怒《かくど》して蹴り所が悪くて暴崩した。帝これを神と崇め祀《まつ》らせ、古今未曾有の大香薪を積んで火葬せしめ、なお慕うてやまず、美少年スポルス死后に酷似せるを見出し、これを宮し婦装女行せしめ、公式もて后と冊立《さくりつ》せし事既に述べた)は、奢侈《しゃし》の余り多くの騾に金|屐《くつ》を穿《は》かせ、また化粧に腐心して新たに駒産める牝驢《ひんろ》五百を畜《か》い、毎日その乳に浴し、少し日たったものを新乳のものと取り替うる事絶えず。ローマの婦女こ
前へ 次へ
全212ページ中161ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
南方 熊楠 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング