古人など沍寒《ごかん》烈風断えざる冬中騎して三千マイルを行きていささか障《さわ》らぬに、一夜地上に臥《ふ》さば華奢《きゃしゃ》に育った檀那《だんな》衆ごとく極めて風引きやすく、十五また二十マイルも徒歩すれば疲労言句に絶す(プルシャワルスキの『蒙古タングット国および北蔵寒境』英訳一巻六一頁)。その蒙古人と万里隔絶のパタゴニア人も同一の性質風習を具うるに至れるを見て同因多くは同果を結ぶと知れ。

     民俗 (2)[#「(2)」は縦中横]

 第五図[#図省略]ボーラズは一から三箇までの石丸を皮で包み、皮か麻緒を編んだ長紐《ながひも》を付けたのを抛《な》げて米駝鳥《リーア》などに中《あ》つると、たちまち紐が舞い絡《から》んで鳥が捕わる仕組みで、十六世紀に南米のガラニ人既にこれを用い、アルヘンチナのガウチョス人今日これを鉄砲よりも好み使う。パタゴニア人も以前は騎せずにこれを用いたが、今は馬上で使うようになったので、昔から使うたものの、馬入りてからその活用以前に増して奏功す。サー・ジョン・エヴァンス説に、スコットランドとアイルランドの有史前民がかようの物を使うた証拠品ありと。しかしその他に
前へ 次へ
全212ページ中152ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
南方 熊楠 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング