ムンジャ草のごとく、神力を以て雪山よりセイロン(鬼が島)まで飛んだとあれど翼の記載はない。が、『リグヴェダ』既にアスヴィナウが赤き翼ある馬して海中よりブフギウスを拯《すく》い出さしむとあれば、釈尊出生より迥《ずっ》と前から翼ある馬の譚がインドにあったのだ。アリオストが記したヒポグリッフ、ハンガリーのタトス、古ドイツとスカンジナヴィアのファルケいずれも翼ありて空中を行く馬だ。
ギリシアの古美術品に飛馬ペガソスを画くに必ず翼あり。それから思い付いてリンネウスが飛馬竜(ペガスス・ドラコニス)と命名したまま今も通用する小魚、和名はウミテング、その形怪異で牛若丸の対手《あいて》としていつも負けている烏天狗や応竜の日本画に似、英語で海竜《シードラゴン》という。予かつて生きた品を獲たが暫くして死んだからその活態を知らぬ。海馬、和名はタツノオトシゴまた竜の駒、蛟《みづち》の子など呼び、その頭馬に酷《はなは》だ似、左右の眼カメレオン同前別々に動く。このもの海藻や珊瑚類に、尾を捲き付くる体画竜のごとく性至って子を愛し、雄の尾の裏または腹下に卵を懐《だ》く嚢《ふくろ》または皮あって、その内で孵《かえ》った
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