メッカ巡礼記』十五章にメジナで至って困ったのは毎夜一度馬が放れ暴れたので、たとえば一老馬が潜かにその絆《つな》がれいる※[#「革+巴」、394−6]《はなかわ》を滑らしはずし、長尾驢《カンガルー》様に跳んで予《かね》て私怨ある馬に尋ね到り、両馬暫く頭を相触れ鼻息荒くなり咆※[#「口+「皐」の「白」にかえて「自」、第4水準2−4−33]《ほえまわ》り蹴り合う。その時第三の馬また脱け出で首尾を揚げ衝き当り廻る、それから衆馬狂奔して※[#「足へん+易」、第4水準2−89−38]《け》り合い齧《か》み合い打つ叫ぶ大乱戦となったと記す。かく憎しみと怨《うら》み強き故か馬が人のために復讐した話もある(プリニウス八巻六四章、『淵鑑類函』四三三、王成の馬、『奇異雑談』下、江州《ごうしゅう》下甲賀名馬の事)。『閑田耕筆《かんでんこうひつ》』三に、摂州高槻辺の六歳の男児馬を追って城下に出て帰るに、雨劇しく川|漲《みなぎ》りて詮術《せんすべ》なきところに、その馬その児を銜《くわ》えて川を渡し、自ら先導して闇夜を無難に連れ帰ったので、まず馬を饗し翌日餅を隣家に配ったとある。酒を忘れたものか書いていない。ちょっ
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