う。
前に言った末吉氏は純粋の琉球人、篤学の士、予氏より未聞を聞く事多い。不毛の事につき氏に教えられて『松屋筆記』を見るに「ひたたけ並びにかわらけ声、無毛をかわらけという、ひたたけという詞《ことば》『源氏』のほか物に多く見ゆ、いずれも混雑したる体なり云々、されば混渾沌※[#「風にょう+良」、391−3]《こんこんとんりょう》などの字を訓《よ》めり、『体源抄』十巻練習事条に少《ちいさ》御前が歌はカワラケ音にて非愛にヒタタケて誠の悪音なり、しかも毎調に愛敬《あいきょう》ありてめでたく聞えしは本性の心賢き上によく力の入るが致すところなり云々、このかわらけ声というも瓦器のごとくつやも気色もなきにいうなり、男女の陰の毛なきをカワラケという、はた同じ心なり」とあり。氏いわく「さすれば先生(熊楠)が足利時代よりかく唱えしとかといわれしも怪しきにあらず、わが琉球語には乾くをカワラクという、瓦器をカワラケと訓むもカワラク器の意か、人の不毛を乾燥せる土地に譬《たと》え得る故、カワラケは乾く意に出でしとすべし、阿婆良気《あばらけ》や島は七島の毛無島も湿潤の気なきより起れる名ともいうべくや」とカワラケだらけ
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