》ねある(一八七〇年版ロイド『瑞典小農生活《ビザント・ライフ・イン・スエデン》』九〇頁)。しかし母が妊娠中どうしたら南方先生ほどの大酒家を生むかは分らぬと見えて書いていない。一六七六年版タヴェルニエーの『波斯《ペルシア》紀行』には拝火《ゴウル》教徒兎と栗鼠《りす》は人同様その雌が毎月経水を生ずとて忌んで食わぬとある。果して事実なりや。『抱朴子』に兎血を丹と蜜に和し百日蒸して服するに梧子《きりのこ》の大きさのもの二丸ずつ百日続け用ゆれば神女二人ありて来り侍し役使すべしとある、いかにも眉唾な話だが下女払底の折から殊に人間に見られぬ神女が桂庵なしに奉公に押し掛け来るとはありがたいから一つ試《ため》して見な。欧州にもこれに劣らぬ豪《えら》い話があってアルペルッス・マグヌスの秘訣に人もし兎の四足と黒鳥《マール》の首を併《あわ》せ佩《お》ぶればたちまち向う見ず無双となって死をだも懼《おそ》れず、これを腕に付くれば思い次第の所へ往きて無難に還るを得、これに鼬《いたち》の心臓を合せて犬に餌えばその犬すなわち極めて猛勢となって殺されても人に順《したが》わずと見ゆるがそんなものを拵《こしら》えて何の役に立
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