|15]《ちゅぼう》、英語でウィヤータイガー、前者は虎人に化け後者は人虎に化けるのだ、支那、インド、マレー半島その他虎の産地には大抵この俗信が存する、わが邦にも道照《どうしょう》入唐して役行者《えんのぎょうじゃ》が化けた虎を見たと伝う、とにかくトテミズムと※人[#「※」は「むじなへん+區」、71−1]※虎[#「※」は「むじなへん+區」、71−1]の迷信が虎崇拝のただ二つの原因たらぬまでもそれに大扶助を与えたのだ、支那では人ばかりか枢星《すうせい》の精も虎と為《な》るという。
 支那の神仙が虎を使い物とした例は『列仙伝』などに多いが、ギリシアの酒の神ジオニソスは梟《ふくろう》を忌み、江豚《いるか》・蛇・驢《うさぎうま》・虎・山猫《リンクス》・豹を愛す(スミス『希臘羅馬人伝神誌字彙《ジクショナリー・オヴ・グリーク・エンド・ロマン・バヨグラフィー・エンド・ミソロジー》』巻一)。古伝にこの神インドを征服したというから虎を愛するはずだ、インドへ出立前に秘儀を女神キベレーより授かる、キベレーは獅を使い物とす、生まれて棄てられ豹に哺《はぐく》まれて育ったという。虎が神仏冥理のため悪人を罰した例も多い
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