゚て人を食えば神に捧物してこれを鎮《しず》むれど、二度目に人食わるれば神の怒りやまぬつもりで村を移すと。リヴァースの『トダ人族篇』にいわく、トダ人信ずある特殊の地を過ぐるに手を顔に中《あて》て四方を拝せずば虎に食わると。またいう最初の神ピチーの子オーン、水牛とトダ人を創造し、今は冥界《アムノドル》の王たり。その子プイヴ水に指輪を落し拾わんとして溺死す。オーン子を独り冥界に※[#「※」は「うかんむり+眞」、72−16]《お》くに忍びず、自分も往かんとて告別に一切の人水牛および諸樹を招《よ》ぶに、皆来れどもアルサンクタンてふ人の一族とアルサイイルてふ水牛の一族と若干種の樹は来らず。オーンこれを詛《のろ》う。それからアルサンクタンの一族はクルムバ術師の呪《まじない》に害せられ、アルサイイル族の水牛は毎度虎に啖われ、かの時来なんだ諸樹は苦《にが》き果《み》を結ぶと。これらは現世で神に代って虎が罰を行うのだが、死んで後も虎に苦しめらるるてふ信念もその例ありだ。『巫来半島異教民種篇《ペーガン・レーセス・オヴ・ゼ・マレー・ペニンシュラ》』二二二頁に、セマン人は酋長死なばその魂虎に移ると信ず。ヴォワン
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