とだ。それでわしは今まで、お前が一生懸命になってるのを黙って見ていた。けれどよく考えると、わしはやはりお前の終わりが気にかかる。しかし今更《いまさら》もう仕方《しかた》はない。ただ何事も控え目にやるがよい。自分の力以上のことをしてはいけない。くれぐれも高慢《こうまん》な心を起こさないようにね、ケメトスや」
 ケメトスはお祖父さんの首に抱きつきました。お祖父さんは黙って涙を流しました。ケメトスはその涙を拭《ふ》いてやって、それから、きっと名前を揚《あ》げると誓って、勇んで都へ上《のぼ》りました。
 国王はケメトスがまだ十五六歳の若者であるのを見て、案外《あんがい》な気がされました。しかしその技をためしてみられると、初めて舌を捲《ま》いて驚かれました。十|尺《しゃく》二十尺ほどもいきなり飛び上がるばかりでなく、飛び下りる方になると、七八十尺の高い所からでも平気で飛んで、すっくとつっ立ってるのです。
 それは色々の運動が大変盛んな時でした。でケメトスは、飛び方の長《おさ》として王様から抱《かか》えられ、宮殿のうちの立派な部屋に住むこととなりました。
 ケメトスの評判が諸方《しょほう》に響き渡
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