に歩く練習《れんしゅう》をしました。まず、自分は右か左かに、どのくらいまがるくせがあるか、それをたしかめて、それから目かくしをした時は、それだけ逆《ぎゃく》にまがる気持《きもち》で歩《ある》く……。ところが、それがじっさいはひどくむずかしくて、なかなかうまくいきませんでした。
三
日が西にかたむいて、森のかげがうすぐらくなりはじめました。風がでてきました。
「今日《きょう》はこれだけにしておこう。僕《ぼく》がも一|度《ど》歩いてみせるから、よく見ておけよ」
マサちゃんは目かくしをして、さいごにも一|度《ど》見せてやるというようすで、歩きだしました。
それが、どうしたのか、少しいってまがりだしました。
一かたまりになって見ていた者たちは、すぐに声をたてました。
「まがった、まがった……」
マサちゃんは目かくしを取りました。
「ほんとにまがったのかい」
「まがったとも。いばってたくせに、なーんだい」
マサちゃんはくやしがりました。そしてまたやりなおしましたが、やはりうまくいきません。
「ああわかった。風が吹《ふ》いてるからいけないんだ。よし、こんどはうまくやってみ
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