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十月八日――夜になって、頸筋に一種の硬直が感ぜられる。或は、昼間少し歩き廻ったせいで肩が凝ったのかも知れない。苦悶の感覚が少しもないのは、この推察を助ける。それでも、もしや……という気がする。
十月十一日――朝から視力がまた弱ってきたのを感ずる。薬液を取出してじっと眺めてみた。
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俺は今、二重に危険な途を歩いている。いつでも極量を越せること、いつ中毒するか分らないこと。一方は俺自身の意志に懸っており、他方は偶然の機会に懸っている。而もこの偶然の方も場合によっては偶然でなくなることを、俺は知っている。
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十月十六日――ストリキニーネはその排泄が徐々であって、ややもすれば蓄積作用を起して中毒症状を呈することは、医者に聞かなくても知っていたのだ。顳※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]部の皮下注射を断られるのは、固より覚悟の前だった。身体の栄養をよくすれば弱視はなおることがあるのも、俺は知っていた。凡ては、単に駄目を押しただけだ。駄目を押して、
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