し鎮め、室の中を見廻し、抽斗を元のように閉め、洋罫紙を室の真中に持ち出して、その両面に細字で書いてあることを、彼は一心に読み始めた。

     十五

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十月六日――俺は死を厭うものではない。然し好奇心によって死にたくはない。
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 夜、〇・〇〇三に当る分量を服用している時、ふと〇・〇〇五の極量を越してみたらという気がした。次の瞬間には危いと思った。手先が怪しく震えた。そして厳密に分量を検査した。勿論千倍の溶液だから、少しの差は構わないようなものの、誤ってつまらない結果に陥りたくはない。
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十月七日――何という爽快な気持だろう! 陰鬱にぼやけていた世界が、俄に明るくなったのだ。凡てのものが輝いて見える。軒先に流れる日の光りが、それとはっきり見て取られるようだ。
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 あの重苦しい幻影が消え失せたことは、俺にとって最も喜ばしいことなのだ。
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