ようにも、また単なる親しみや好意のみであるようにも、考えようによって何れにも思われた。種々のことを考え合してみると、前の二つが余りに自惚れすぎてるともいえなかったし、それかって、後の一つだとの断定も出来かねた。
吉川のことから離れて、問題を右のことに置いてみると、彼はのっぴきならない破目に陥ってる自分自身を見出した。それは現在当面の問題だった。而も凡てが疑問のみで、何一つ確かなものを掴み得なかった。
もしも、自分が保子を恋し保子が愛してくれるとしたら……そこまで想像して彼は駭然とした。然し、そんなことになり得ないとは云えない情態だった。今のうちに何とかしなければいけなかった。と云って、どうしていいかも分らなかった。自分の心がどう転がってゆくか、それが不安で堪らなかった。而も更に悪いことには、その不安がひそかに彼の心に甘えていたのである。
十三
周平が一人で思い惑ってるうちに、いつしか暑中休暇になった。そして、八月はじめから約一ヶ月余りの間、横田の家は家族全部で――と云っても、横田夫婦と隆吉、それに女中が一人伴して――常陸の海岸へ避暑することになった。其処に、水戸に居
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