ので、とにかく同情は同情として素直に受ける方がよい、と答えた。横田は、子供は同情を求めるものではなくて、愛を求めるものだ、と云う。けれど同情から愛が深くなることもある、と私は云った。同情の愛は不純なもので、そういうことに隆吉のような子供は殊に敏感である、と横田はいう。それから、同情と愛ということについて、二人で一寸議論をした。そして、結局分らずじまいに終った。

 保子は読んでしまってから、また、「どう?」というような眼付で周平の顔を見た。
 周平はやはり何とも答えなかった。彼は其処に書かれた事柄よりも、それを読んできかせる保子の心の方に多く気を取られた。内密の日記を読んできかして、一種の輝きを帯びた露《あらわ》な眸で、彼の方を、じっと窺っている彼女の心を、彼はどう取っていいか分らなかった。単なる親しみからだとしては、読まれた二つの記事が余りに彼の心に触れるものだった。何かを試されてるのではないかという気もした。
「何を考えてるのよ、黙ってばかりいて。張り合いのない人ね」と保子は云って笑った。それから急に調子を変えた。「あああなたは急ぐんでしたね。構わないから、その書物を持っていらっし
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