、いつのまにかうとうとしたらしい。そして夢をみた。
 ――誰だか分らないが、親しい四五人の者と一緒だった。狭い室で食事をしていた。変な獣が一匹前に蹲っていた。その胸から腹へかけて毛が※[#「てへん+毟」、第4水準2−78−12]り取られていた。それに箸をつきさすと、薄い肉片がわけなく取れた。「旨《うま》い肉だ、」と誰かが云った。獣は間もなく、胸から足へかけて、骨ばかりになった。それが、生きた猫だった。「可哀そうだからこれ位にしておこう、」とまた誰かが云った。猫は起き上って、胸と足との肉をむしり取られたまま、のそりのそりと歩いていった。
 それから、皆は出かけることになった。
 石の段を上ると、あたりが真暗だった。曲りくねった坂道が続いていた。その道を歩いていった。皆も一緒だということは分っていながら、真暗なのでその姿は見えなかった。そのうちに、道の両側から幾人もの乞食が出て来た。不思議にその姿ははっきり見えた。皆筋骨の逞しい男だった。半ば裸体で、滑っこい餅肌《もちはだ》をしていた。それが、袂を捉え、手首を取り、はては首っ玉にかじりついて来た。どうにも出来なかった。
「石で殴りつけるがい
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