い物質生活と反映し合っていた。それをつきぬけて晴々とした所へ出なければ、もはや息がつけない気がした。余儀ない破目から竹内を殴ることも、今は自分の生活を転回させるに必要な槓杆のように感ぜられた。単なる復讐心や卑怯な女々しい感情からではなく、公怨と無条件に腕力を肯定出来る気がした。思いつめてると頭がくらくらとした。知らず識らず保子の手紙が胸に浮んで涙が湧いてくるのを、彼は他人のような気持でぼんやり而も力無く見戍った。
「どうしたのよ、井上さん、しっかりなさいな」
その声に喫驚《びっくり》して眼を挙げると、お清がすぐ側に坐って覗き込んでいた。酒に熱《ほて》った頬と冷たく曇ってる額との間から、うち許しながら敵意ある露《あらわ》な眼が輝いていた。
「水を一杯くれよ。」と周平は云った。
彼は身を起した。コップに水をついできたお清を引寄せて、膝の上に坐らした。そのずっしりとした重みを感じながら、一息にコップを飲み干した。
「井上、」と誰かが呼んだ、「怪しげな所を見せないで、まあこっちへ来いよ。」
周平はお清を押しのけ、心を決して煖爐の方へ行った。
「水は早いぜ。も少し飲め」
竹内が立ち上って
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