。」
「何を?」
「ああいう噂が立ってるので……。」
「どうもしないさ。噂ばかりだから構やしない。ただ、もうお清に逢うことも、横田さんの家《うち》に行くことも、きっぱり止そうと思ってる。つまらないからね」
「うむ。」
 村田はそう答えたまま、火鉢の火に眼を落して、暫く考え込んだ。それから急に顔を挙げた。
「それもいいだろう。なまじっか噂に反抗し出すと、横田さん二人に迷惑をかけることになるかも知れない。……それに、今後の君の生活位はどうにでもなる。僕がいくらも仕事を探し出してやるよ。」
 然し、周平はそれを耳に止めなかった。彼は咄嗟に或る計画を思いついていた。竹内を殴るに最もいい名案らしく思われた。彼は強いて何気ない調子を装って云った。
「君、忘年会をやろうじゃないか。」
「え?」
「僕は今年《ことし》一年中のことを葬ってしまいたいんだ。噂をも何もかも葬ってしまいたいんだ。皆で忘年会をやって大に飲もう。なるべく早い方がいいね。最後の思い出に、蓬莱亭の二階でやろう。」
 村田は眼を円く見開いていたが、暫くして、急に顔を輝かしてきた。
「それはいい。早速やろう。今日は金曜だから……来週の水曜
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