がふわりとかかっていた。大きなメリンスの座布団が、ぱっとした華かな色を浮出していて、その前の床の間に、ごたごた化粧瓶の並んでる、大きな贅沢な鏡台が据えられていた。がその横には、壊れかけた古机が一つ、埃のたまっていそうな古雑誌を四五冊乗せていた。窓の下に、黒っぽい粗末な茶箪笥があって、古い鑵を幾つも見せていたが、その上には、紫檀の盆の中に、薄手《うすで》の上品な茶碗と錫の茶托《ちゃたく》とが、鬱金色《うこんいろ》の布巾の下から覗いていた。室の反対の隅には、漆塗りの衣桁に、薄汚れのした着物や手拭などが乱雑に掛っていた。凡ての点で、華美と貧寒との二つが投げやりのうちに雑居していた。それらを、天井から下ってる薄暗い電灯の光りが照らしていた。
 お清は、平ったい竹籠から火鉢に炭をついで、細い息で吹き熾《おこ》した。周平は変な気がして、その方をじっと眺めた。彼女はその眼付を読み取ってか、微笑みながら云った。
「階下のお婆さんが、寝る前に炭団《たどん》をいけといてくれるから、いつも火種があって重宝《ちょうほう》よ。」そして火鉢の中をまた覗き込んで云い添えた。「だけど、いくら云ってもけちけちしてて、炭
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