込んできた。
彼は敵意ある眼で村田の顔を睥みつけた。弁解するよりも突っかかっていった。
「卑しい想像は止すがいい。魂の腐った奴のすることだ。」
「何が卑しい想像だ!」と村田は叫んだ。彼もいつになく奮激していた、「自分のことを考えてみろ。」
その言葉が周平の胸にぐっと来た。彼は立ち上った。
「君こそ自分のことを考えてみろ。下らない噂の上に卑しい想像を逞うするのが、自分で恥しくないのか。」
村田は熱っぽい眼付で見上げながら、一寸唇を震わしたが、それを周平は咄嗟に、上から押被《おっかぶ》せた。
「勝手に僕のことをふれ歩くがいい。よかったら横田さんに告口でも……。」
云いかけて彼はぷつりと言葉を切った。恐ろしい閃きが頭を過《よ》ぎった。村田の熱っぽい鋭い眼付が俄に不安になった。
「下らない!」
捨鉢な気持で云い捨てて、彼はぷいと立ち去った。
「君は自分で肯定して、それを……。」
憤りと叱責との調子の言葉を、彼は後ろに聞き捨てながら、振り返りもしないで出て行った。
が、扉の所で彼は一寸足を止めた。何だか変だった。然し、村田が追っかけてくる気配《けはい》はなかった。しいんとしていた。
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