堪らなくなって、飛び込んできちゃった。」
「一人だったのか。」と村田が云った。
「え?」と竹内は怪訝な顔をした。
「一人とは珍らしいね。」
「なあに、いつも一人さ。井上君のようなわけには行かないよ。」
そのあてつけが周平は癪に障った。竹内はいつも、文士の誰かにくっついてるか、または友人の誰かと一緒になっていて、決して一人のことがないというのが、彼等の間の定評だった。竹内自身もそれを知ってる筈だった。そして、村田が云ったのは確にその意味に違いなかった。それを彼は変に皮肉にねじまげて、暗に周平を揶揄してきたのだ。周平はじっと彼の顔を見つめてやった。彼は素知《そし》らぬ顔をして隣りの者の杯を引ったくっていた。
「兎に角、内部から温めるに限る。」
そして彼は、三四杯たて続けに飲んで、それから勝手に皆の数だけ、ホット・ウイスキーを命じたりした。
竹内の冗談口《じょうだんぐち》に、会話は俄にはずんできた。彼はいろんな方面にもぐり込んでるだけに、単なる学生である皆の知らないような話を、いくつも持っていた。その上、彼はその晩変に饒舌だった。一人で会話を奪っていった。白っぽく取澄した顔をしてお清が
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