分らないような横田の態度に出逢った。
「君が帰ると晩酌《ばんしゃく》の口実がなくなっていけない。女や子供ばかりを相手にしないで、たまには僕にもつき合ってゆくさ。」
その前に周平は自然と頭を垂れた。そして、夕飯の御馳走になり、取留めもない冗談を聞かされ、将棋を二三番さして、それから辞し去った。
霜が降《お》りていそうな寒い夜を帰ってゆく途すがら、彼は対象の分らない漠然とした感激に包まれた。何物もない自分自身がいとおしかった。
三十九
夕方少し霙《みぞれ》が降ってすぐに晴れた寒い晩だった。周平は村田や橋本など三四人の友人と、蓬莱亭の階下の室で雑談していた。熱い酒を飲んでも、煖爐の側に身を寄せていても、すぐに足先からぞくぞくした寒さが伝わってきた。妙に話がはずまなかった。
その時、表からふいに飛び込んで来た男があった。扉をばたりと後ろに閉めて、つかつかとこちらへやってきた。それが竹内だった。
周平はぎくりとした。竹内も一寸狼狽したらしかった。が彼はすぐに、見開いてる輝いた眼を、金縁眼鏡の下に笑いくずしながら、皆の中にわり込んできた。
「馬鹿に寒い晩だね。外を歩いてると
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