て、皆を見渡した。彼等の顔が馬鹿げて見えた。彼は吐き出すように云った。
「僕の知ったことじゃないさ。」
「なんて、澄してる所を、お清ちゃんに見せたいね。」
 だが、お清は向うの隅に立って、周平の方へちらと目配《めくば》せをしていた。周平も大胆に目配せを返した。彼女は水を持ってきてくれた。煖爐にあたる真似をして、肩を一寸聳かしてみせた。その眼に、彼は眼付で微笑んでみせた。彼女は煙草を一本取って、一寸吹かしてから、おお辛《から》いと云いながら持て余す様子をした。それを彼は引受けて自分で吸った。立去る時彼女は一寸彼の袖を引いた。もう酒を止せという相図だった。それでも彼は皆からなお勧められると、じろりと横目で、向うに居るお清の顔を見た。お清は睥むような眼付をした。彼は口を尖らしながら睥み返した。そして杯を手にした。
 そういうことが――二人差向いでいる時には妙にぎごちなく思われることが、大勢の面前では、何のこだわりもなく敏活に相通ずるのであった。そして彼は、其処を出る時には可なり酔っ払っていた。足がふらふらしていた。
「危《あぶな》いわ。気をおつけなさいよ。」
 口早に囁いたお清の言葉が、長く
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