あった。それは大抵橋本だった。
それらのことを聞くと、周平は昂然と頭をもたげた。たとい悪意からでないにしろ、一種の好奇心から彼等が煽《おだ》ててることを、周平はよく見て取っていた。そして、その底にはまだ他に何かあることも、よく感づいていた。然し、もう弁解や穿鑿をすべき時ではなかった。凡てを盲目的に踏みにじってゆく方が、最も近途らしく思われた。何処に出る近途かということは分らなかったが、ただそうすることによって、最も早く何処かに出られそうな気がした。
濛々と煙草の煙が立罩めてる階下の広間で、煖爐の方へ足先を差出しながら、周平は一人黙りこくって、勧められる杯だけを、片端から空《あ》けていった。其処へよくお清は割り込んできた。
「井上さん一人を酔わしてどうするつもりなの。皆でよってたかって、可哀そうだわ。」
「ようよう……その通り、だから君が少し助けてやるさ。」
「ええ、いくらでも私が引受けてやるわ。」
そして彼女は、周平の前にある杯を一つぐっと干したが、それからまたぷいと向うへ行ってしまった。
「おい、井上、黙ってるって奴があるか。何とか感謝しろよ。」
周平はきょとんとした眼を挙げ
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