て、頭が非常に重く感ぜられた。彼女から促されると、慌て気味に立ち上って帽子を取った。そして、先にたって外へ飛び出した。
 明るい電車通りが眩《まぶ》しいように思われて、周平はまた池の方へ曲り込んだ。
「もう夜店もおしまいね。」とお清は後について来ながら云った。
 まだ可なり人通りのある明るい街路に、早くもしまいかけてる夜店の灯が、妙に薄ら寒く散在していた。それを池の方へ曲ってしまうと、地の下から伝わってくるような底冷えが感ぜられた。霧は空高く昇ったらしく、星の光りが朧ろに薄らいで見えていたが、地上の空気は冷たく乾ききっていた。
 もう何にも云うこともない、と思うのが俄に淋しくなって、周平は肩をすぼめた。
「僕は酔っちゃった。」
「私も。何だか頭がふらふらするようだわ。」
 ふーっと息をして彼は振り向いた。彼女は池の面に映《うつ》ってる灯をぼんやり眺めていたが、二三歩してから急に足を止めて、彼の方を覗き込んできた。薄暗い中で、睫毛の影のない露《あらわ》な眼が、黝ずんだ熱っぽい輝きを見せて、これからどうするの? と尋ねかけてきた。瞬間に、彼は凡てを忘れた。いきなり彼女の肩に縋りついていった
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