から胸へかけ、わりに厚ぼったい肉付があるのに、一寸眼を惹かされた。それに自ら気が付くと、急いで眼を外らしながら、続けざまに杯を重ねた。
「あら、そんなに急に飲むと酔っちゃうわよ。」
それでも彼女は、彼の杯を少しも空《から》のままにしておかなかった。そしてまた同じくらいに、自分の杯へも手の銚子を持っていった。
「私あなたとこんな処へ来ようとは思わなかったわ。」
「僕も思わなかったよ。」
軽く受けてじっと眼を見据えてる彼の方へ、彼女は俄に真顔で向き直ってきた。
「井上さん、先刻《さっき》の高井……英子とかって人ね、あなたはどうして私をそうじゃないかと思ったの。」
「ただそんな気がしたからさ。」
「嘘仰しゃいよ。」
睨めるようにした彼女の眼付が、保子のとそっくりな閃きを見せた。周平はぎくりとした。彼女はまた疊みかけてきた。
「どうしてあなたはその女《ひと》のことを、そんなに気にしてるの。誰にも云わないから、訳を聞かしてもいいでしょう。」
顔をあげると、もうその眼付は消えて、円みを持った細い眉の中に二重眼瞼の眼がぱっちりと開いて、小さなやさしい黒目が彼の方をじっと覗き込んでいた。彼は急
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