ゆき、子供の方は、父の従兄《いとこ》と恋人と一緒になってる家へ、引取られて世話されてるんだ。」
 彼は突然口を噤んだ。がすぐにつけ加えた。
「その子供の母親を高井英子というんだが、いろんなことから考えると、それが君のことらしい気がするのさ。」
 吐き出すように云ってしまってから、彼は俄に不機嫌になった。今まで一生懸命に考えてたことが、いざとなると、変につまらなくなってしまった。馬鹿げていた。けれども、それでいてやはり真剣な心地だった。
「そう、不思議な縁ね。」とお清は呟いていた。彼はその顔をじろりと見やった。
「私がもしそうだったら、あなたはどうして?」
「どうもしないさ。」
「そうでなかったら?」
「どうもしないよ。」
「それじゃ訳が分らないじゃないの。」
「分らないさ。」
 そして彼は黙り込んでしまった。何を不機嫌に腹立ってるんだと自ら浴せかけてみたけれど、妙にこじれた気持が納らなかった。お清になお二三度言葉をかけられたが、返辞をしなかった。
 池を一周してしまうと、お清は突然立ち止って云った。
「何か食べましょうか。私|疲《くたび》れちゃったから。」
 周平は機械的に首肯《うなず
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