。」
「じゃあ僕のことも知ってるんだね。」
「あなたのことって、一体どんなこと?」
見返した彼女の眼は、冷かに澄み切っていた。周平は黙って歩きだした。頭がもやもやしてきた。
「どうしたのよ。」とお清は後から追っかけてきた。「すっかり仰言いよ。訳が分らないじゃないの。」
「だが……その子供は今何処に居るんだい。」
「地の下に居るわ。他家《よそ》にやってるうちに死んじゃったんだから。」
周平はぽかんとして足を止めた。その顔を彼女は覗き込んできた。そして俄に言葉を続けた。
「それをどうしてあなたは知ってるの。」
「本当に死んだのかい。」と周平は云った。
「本当でしょうよ、屹度。」
無関心な調子でそう云い捨てておいて、彼女は更にじっと覗き込んできた。周平は眼を外らしてまた歩きだした。
暫くすると、お清は後からふいに呼びかけてきた。
「井上さん!」
周平はちらと投げた眼付でそれに答えた。
「あなたはどうしてそんなに子供のことを気にかけてるの。何か訳があるんでしょう。」
彼女は小走りに二三歩寄ってきて、周平の肩に軽く手を置いた。その接触を周平は俄に息苦しく感じた。袂から煙草を探ってマッ
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