思うと彼は一種の不安と憤りとを禁じ得なかった。竹内が自分を避けてる理由がはっと胸に響いた。向うがそのつもりならこちらは反対に出てやれという気になった。そして彼はお清が来るのを待った。然し彼女はなかなかやって来なかった。彼は更にじりじりしてきた。残りの料理と酒とをみんな平《たいら》げてしまった。それから長椅子の上に寝そべった。頭がかっとしてきた。
彼はお清がそっとはいって来たのも知らなかった。「あら、寝てるの、」という声に飛び起きると、彼女はすぐ彼の前に立っていた。
「まあここに坐れよ。」と彼は怒鳴りつけるように云った。
お清は黙って椅子に掛けたが、何だか興奮してる様子だった。身体を固くして、口をきっと結んでいた。小さな唇に小皺が寄っていた。周平は一寸気勢を挫かれた気持で、低く尋ねてみた。
「向うに来てるのは竹内だろう。」
お清は何とも答えないで、ちらと彼の眼を見返した。
「おい、竹内だろう。」と周平はまた尋ねた。
「ええ、そうよ。」
事もなげに答えておいて、お清は急に彼の方へ向き直った。
「あなた、竹内さんと喧嘩でもしたの。」
「なぜ?」
「だって、いやに気にしてるじゃないの。
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