う。主義となると、其処に一種の排他的抵抗が出て来るものだ。だが僕のは真の無抵抗なんだ。そして僕は面白いことを考えついた。無抵抗な自分の頭をじっと見戍ってると[#「見戍ってると」は底本では「見戌ってると」]、丁度天気と同じような変化をしてることが分る。がらりと晴れてる時もあれば、じめじめ雨が降ってる時もある。また、晴れてるのに雲がむくむく出て来たり、曇ってるのがいつのまにかすーっと晴れたりする。それでね、僕はこれから、自分の頭の天気模様を表に取ってみようと思いついたのさ。屹度何か面白い結果が現われるに違いない。或は意外な発見があるかも知れない。そして、それには僕のような無抵抗者でなくちゃ駄目なんだ」
「じゃあ今はどうなんだい。」と周平は尋ねた。
「そうだね……夜、晴朗、とでも云うのかな。」
「それでは実際の天気と同じじゃないか。」
「いや違う。空は晴れてやしないんだろう。」
「晴れてるさ。」
然し窓を開いて覗いてみると、外はただ真暗で、晴曇のほども分りかねた。冷やかな風が何処からともなく流れ寄ってきて、急に身体が寒くなった。
「おう寒いや。」
「だから熱いのを持って来たわ、気が利いてる
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