る四角な卓子をとり囲んでいた。
村田と周平とは洋室の方にはいって、長椅子の上に身を投出した。そしてただ訳もなく眼を見合せた。
がーんと耳鳴りがした後にひっそりとなった時のような気持だった。村田は煙草に火をつけながら云った。
「どうだい、思ったより汚い狭苦しい室だろう。」
「いや、素朴でいいじゃないか。」
背の低い肥《ふと》った女中が、酒や料理を運んできた。
「今晩井上君と二人でゆっくり話すんだから、あちらへ行ってていいよ」と村田は云った。
周平は、余計なことを云うと思ったが、さしとめるわけにもゆかなかった。自分の方から二人きりでゆっくりしようと云い出したことだった。然し、村田と二人でさし向っていた所で、別に面白いこともなかった。お清に逢うのが目的だったのだ。そして、そのお清はいつまでも出て来なかった。居ないのかなと考えて見ると、先刻階下にも二階にも姿の見えなかったことが、俄にはっきり思い出せた。
その間に村田は、こんなことをしみじみと云い出していた。
「人は僕を呑気者《のんきもの》と云ってるけれど、それは皮相の観察で、実は僕は無抵抗者なんだ。然し、無抵抗者と無抵抗主義者とは違
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