ていたが、周平は俄にうすら寒い気持になって、村田の方を顧みた。
「何処かで熱いのを一寸やりたいね。」
「よかろう。」
村田は言下にそう答えながら、何処ともきめないで歩いてるうちに、他《ほか》のことを云い出した。
「実はね、僕は吉川さんのことを小説に書こうかと考えてみたんだ。勿論、モデル問題が起らないくらいに修飾をしてね、それから横田さん二人のことも――これは恋の勝利者だから構わないようなものの、一寸気がさすので省《はぶ》いてしまうんだ。要するに、失恋して自棄になってる所へ、変な女に引っかかって、生憎《あいにく》と子を産ませてしまい、それからその女に捨てられて、一人で子供相手に暮すという筋さ。自暴自棄から次第に真面目なヒューメンな気持へ落着いていく心理、それが出なければ駄目だね。所が今の僕では、とてもそこまで突込んでいけそうもないから、構想の途中で止してしまったが、考えてみれば筋が少し陳腐だね」
周平は今そんな話を聞きたくなかった。
「おい何処にしよう。」と彼は云った。
村田は話の腰を折られて、きょとんとした眼付をした。
「今晩は君と二人きりでゆっくり話したいね。」
「よし、誰も来
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