「君の話を聞いていると、気持が呑気になっていいよ。」と周平は云った。
「なぜ?」
「話がうまいから。」
「なあんだ、つまらない。……だが、要するに世の中は呑気なものさ。酒を飲めば更に呑気になる。どうだい、何処かへ行ってみようか。」
然し周平は、酒を飲めば呑気になるどころか、益々気分が冴え返るのであった。平素は投げやりの気持になっていても、身体が酒に熱《ほて》ってくると共に、一種捨鉢な興奮が起ってきて、その底からじっと、保子や降吉のことを見戍るのであった。自分自身が堪《たま》らなく惨めに思えたり、この上もなく悲壮に思えたりした。
そういう気持のうちに彼は、知らず識らずお清へ注意を向け始めていた。固より、彼の仲間は蓬莱亭へ行くことが少かったし、また彼は竹内のことから変に気がさして一人では行かなかったので、お清と顔を合せることはそう度々ではなかった。然し、彼女がどうかした拍子に保子そっくりの眼付をするのが、何となく気に懸った。がよく見ると、保子の眼は黒目がちであるのに、お清の眼は妙に黒目が小さく見えた。それがどうして同じような眼付になるのか、彼には分らなかった。
四五人で勝手な熱を吹
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