ってるが、年齢《とし》の功で威張るのは、余り威張り栄がするもんでもないからな」
「だって、なしのつぶてよりはまだいいや。」と誰かがまぜっ返した。
「なあに、此奴は石のつぶての方さ。」
 周平にはその意味が分らなかった。然しそうなると、何となく気がさして尋ねにくくなった。知ってるふりをして、声高く笑ってやった。
 とはいえ、そのために却って、変に気持の上のこだわりが残された。
 彼は後でそのことを、その晩居合せなかった村田に尋ねてみた。
「君はまだ知らないのか、あの有名な話を。」と村田は云って、周平の顔を見返した。
「知らないから聞くんだよ。」
「いやに気にしてるな。だが実際、ただで聞かせるのは惜しいほど面白い話だぜ。実はね、竹内があのお清に一寸参ったって訳さ。それから度々あの家へ行って、それとなく当ってみたんだ。所がさっぱり手答えがないんだろう。先生じれだしたもんだ。そして、止せばいいのに、酒に酔ったふりをしては、怪しげな詩だの歌だのを書いてよこしたのだ。全く気障《きざ》な奴さ。その上に常識を逸してるね。だが、それだけ先生の方じゃ大真面目だったんだろう。それでも向うは平気で、知らん顔を
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