に黙って坐ってる隆吉へ眼をやると、隆吉は微笑みながら彼を見返した。
「毎週わざわざ来て頂くのは大変でございますね。」と定子は云った。
「いいえ、どうせ遊んでるのですから。」
 そして周平は次の言葉を待った。しかし定子はもう何とも云わなかった。保子から話しかけられて、それに簡単な受け答えをしていた。周平はその顔をそっと窺った。染めたらしい黒い髪を小さく後ろへ取上げて、広い額を見せていた。少し凹んだ小さな眼、真直な鼻、長い※[#「臣+頁」、第4水準2−92−25]、それらが隆吉によく似ていた。小鼻のわきから頬へかけた筋のために、顴骨が少し高まって見えたが、それも額と※[#「臣+頁」、第4水準2−92−25]とによく調和して、却ってしっかりした上品な趣を添えていた。そういう顔立を彼女は少しもくずさずに、微笑さえも殆んど浮べないで、保子へ短い言葉を返していた。保子一人でいろんなことを話した。周平と隆吉とは、置き忘れられたように黙って坐っていた。
 暫くすると、定子はもう帰らなければならないと云った。保子はしきりに止めたけれど、家の都合でどうにもならないとのことだった。
「では一寸お待ち下さい。
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