な議論ではなくて、冗談半分の話だから、いいじゃないの。」
「なおいけません。人は真面目に何かを信じてる時、それを冗談半分に警句やなんかで片付けられるものではありません。下らない話で気を紛らせるものではありません。」
「そんなでは、うっかり口も利けないことになるのね。」
「だから私は一人で黙ってるのが好きなんです。」
 そして彼は、縁側に腰掛けたり室の中に寝転んだりして、いつまでも黙っていた。保子から時々じっと眺められるのを感じても、やはり身を動かさなかった。
「井上さん、」と保子は暫くして呼びかけた、「動物園か活動にでも行ってみませんか。」
「ええ、行ってもよござんす。どうせ何かで時間をつぶさなくちゃならないから。」
「じゃあ止すわ。」と保子は吐き出すようにして云った。
 周平は顔を挙げた。見ると、保子は冷かに顔を引緊めて、何かを内心で苛立ってるらしかった。
「なぜです。」と彼は尋ねた。
「だって、人が折角誘うのに、どうせ何かで時間をつぶすのだからって挨拶があるものですか。時間つぶしの相手なんか真平《まっぴら》よ。」
「じゃあ時間つぶしというのを取消しましょう。」
「取消したって同じよ
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