まだおさまらないうちに、保子は正面から尋ねかけてきた。
「でも、あなたは隆吉をどう思って?」
周平は顔を挙げた。が咄嗟に答えが出なかった。
保子は直にたたみかけてきた。
「あなたは隆吉を余り好きじゃないわね。」
周平はぎくりとした。それを更に押被《おっかぶ》せられた。
「あんなに慕ってるのに、どうして嫌いなんでしょう、変ね。」
その直截な言葉は、殆んど抗弁の余地を与えないのを周平は感じた。それでいて、妙に彼の気持へぴたりとこなかった。彼は隆吉を嫌いではなかった。かと云って好きでもなかった。思い惑っていると、保子はまた云った。
「先《せん》にはそうでもなかったが、この頃隆吉に対するあなたの様子は変よ。一体どうしたというの?」
じっと彼を見てるその眼には、非難の色は少しもなかった。却って、庇うような温情が現われていた。周平は眼をつぶった。それをまた開いた。
「私は隆ちゃんを嫌いじゃありません。」と彼は云った。「ただ妙に愛せられないんです。離れていると何だか可哀そうに思われてきて、胸に抱きしめてやりたいような気持になりますけれど、側に行くと、急に小憎らしい……というより、気味悪いよ
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