げ出した。
 開け放した縁側から、暖い日の光りが室内に射し込んでいた。彼は長い間その光りに浴した。額のねっとりした汗が乾いて、何もかもが空しく思われてきた。一抹の影も含まない澄みきった大空が、寂しく静まり返っていた。その懐に周平は自分自身を投げ出した。地上に存在することが無意味に頼りなく感ぜられた。自分の涙を見て保子が何と思ったか、保子に恋したことが如何に不貞であるか、そんなことはもうどうでもいいという気になった。自分自身が惨めなら惨めでいい。凡てをあるがままにあらせるがいい。これからどうなろうと、そんなことは神の知る所だ。
 周平は立ち上って、着物を着代えた。耳を澄したが、誰も呼びにくる気配《けはい》もなかった。彼は寝床を片付けて階下に下りていった。顔を洗う時、水で頭を冷そうとしかけたが、それも面倒くさくなって止した。
「よかったら御飯にしましょう。あなたを待ってたのよ。」
 そう保子は云ったきり、遠慮深そうに口を噤んでいた。
 然し周平は、彼女の眼がしつこく自分に向けられてるのを感じた。感じても平気だった。自分自身を極端に惨めな絶望的などん底に置いて、そこから空嘯いてみた。何にも恐
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