妙に冴え返った。それがまざまざと、周平の眼の前に寄せられてきた。周平は眼を外らした。
「いやな夢を見たんです。」と彼は答えた。
「嘘仰しゃいよ。いやな夢に泣く人があるものですか。」
「いやな悲しい夢です。」
保子は何とも云わなかった。然しその眼は嘘仰しゃい! とくり返していた。そのままで、静に時がたっていった。周平はくるりと寝返りをしたが、次にはぱっとはね起きた。起きてから、どうしていいか分らなくなった。縁側に出て呼吸してみた。後ろからじっと眺めてる保子の眼に、気持を囚えられて仕方がなかった。どうにでもなれという気でふり向いてみた。
「もう起きてもいい時よ」と保子は静かな調子で云った。「余り寝坊してるから、いろんなことを考えていけないんだわ。顔でも洗ってごらんなさい。気がさっぱりするかも知れないわ。」
「ええ」と周平は機械的に返辞をした。
保子は彼の眼の中をじっと覗き込んで、それから立ち上って、黙って階下へ下りていった。手に空気枕を持っていた。
周平はその後姿を、見ぬようにして見送りながら、ぼんやり立ちつくしていた。彼女の姿が消えると、怪しく胸が騒いできた。そして布団の上に身を投
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