「それでは、私がお父さんの代理をも兼ねて行きましょう。」と一清は気軽に答えました。
「いや、お前個人として行くので、代理を兼ねるというわけにはいくまい。」と太玄は考え深そうな眼付をしていいました。
 ところで、荘一清にとっては、父のことよりも寧ろ、友人の汪紹生の方が問題でありました。
 荘太玄は今では、あまり世間のことに関係したがらず、家居しがちでありましたが、その見識徳望の高さを以て巍然として聳えてる観がありました。それ故、呂将軍と共に方家へ招かれるのも不思議でなく、また荘一清は青年ながら、太玄の令息として招かれても不思議ではありませんでした。だが汪紹生はちと別でした。汪紹生は家柄も低く貧しく、ただ荘一清と刎頸の交りを結んでることだけで、方家からわざわざ招待を受ける理由とはなりませんでした。
 彼は怒ったような調子で、荘一清にいったのであります。
「僕は万福山さんとは、君のところで紹介されて、それから二三回逢ったきりだ。特別な識りあいでもない。極言すれば、方福山が旅行しようと、旅行から無事に帰って来ようと、旅行中に野たれ死にしようと、そんなことは僕に何等の関係もないんだ。招待され
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