だしました。
三
子供たちはおもしろがって、その話を村の大人《おとな》たちにしました。大人たちの方では、そんなことがあるものかと思って、初めは本当にしませんでしたが、子供たちが皆本当だといいますし、見馴《みな》れない子供が出て消えたことなどを聞くと、そのままうっちゃってもおかれないと思い始めました。なぜなら、それを悪い鬼《おに》のせいだと考えたのです。
「それは悪い鬼にちがいない。悪い鬼がやって来て、子供をさらってゆくつもりで、初めはまずそんなふうに、子供をだまかしてるんだ」
「そんなことはないよ。もし鬼だったら、おもしろい鬼だよ」
そう子供たちはいい張りましたが、大人たちはききませんでした。そして鬼退治《おにたいじ》を始めることに相談をきめました。
子供たちは悲しくなりました。けれど、大人たちがむりにいうものですから、仕方《しかた》なしに例のところへ行って、「だるまさん」を始めました。
大人たちは、そうして子供たちを遊ばしといて、自分たちの方は、まだ鉄砲のない頃でしたから、弓や石投機械《いしなげきかい》や刀や棒など、てんでに何か武器を持って、森の木の陰や村の家
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