天狗笑
豊島与志雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)ある山裾《やますそ》に
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(例)[#ここから2字下げ]
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一
むかし、ある山裾《やますそ》に、小さな村がありました。村のうしろは、大きな森から山になっていまして、前は、広い平野にうつくしい小川が流れていました。村の人たちは、平野をひらいて穀物《こくもつ》や野菜を作ったり、野原に牛や馬を飼ったりして、たのしく平和にくらしていました。
村の人たちは皆仲よしでした。それで、子供たちも皆お友だちでした。大人《おとな》たちがたんぼや牧場で働いている間、子供たちは一しょにあつまって仲よく遊びました。
ある夏の初め、子供たちはいつものように、一しょにあつまって、村のうしろの森のはずれの原っぱで、土盛《つちも》りをしたり輪投げをしたりして遊んでいましたが、それにもあきてくると、近頃はやりだしたにらめっこを始めました。それは遠くの町からつたわってきた遊びで、これまでまだ村には知られてなかったのです。新しい遊びなだけに、子供たちは非常におもしろ
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