がりました。
「にらめっこしようか」
「しよう」
原っぱの中にみんなは円《まる》く輪をつくって坐りました。そして一しょにいいました。
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だるまさん、だるまさん、
にらめっこしましょう、
わらうとぬかす、
一二三……うむ。
[#ここで字下げ終わり]
うむ……ときばって、息をつめて、両手を膝《ひざ》について、眼を見張って、おかしな顔つきをしながら、ほかの者を笑わそうとするのです。初めにぷーっとふきだした者は、すぐぬかされて、また「だるまさん」が始まります。そして一番おしまいまで残った者が勝ちなのです。
子供たちはそれを何度もくり返しました。
いく度目かにまたみんなで、「だるまさん、だるまさん」をやりだした時です。ふいに、頭の上で、空のまん中で、わはははははと大きな笑い声がしました。
おや……と思って、息をつめたままで、上を見上げますと、森の上からぬーっと大きな顔がのぞき出して、それが空いっぱいの大きさになって、家のような大きな眼と鼻と口とで、わはははははと笑っています。とすぐに、その顔も笑い声も消えてしまって、日の光のきらきらしてる青い空ばかりになってし
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